1. まえがき
前回の天体撮影記124夜で阿蘇山の火映と夏の天の川を終えた後に、久しぶりの連休中での快晴予報。
まず間違いなく明け方に再び天の川を撮影出来るの間違いなしということで、牧ノ戸峠へと向かいました。
と言ってもGPVであらかじめ登山計画は立てており、すぐに登れるように冬山登山装備も車に積んでいました。標高は1700m級と低いものの冬山登山なので侮ってはいけない。いつでも初心者の心構えで挑みます。本当は山岳会とかできちんと学んだ方がいいとは思っているけど中々…。
今回は、九重連山の天狗ヶ城の山頂から夏の天の川を撮影するという計画です。以前からこの計画は頭の中にあり、ようやく実行に移せました。
九重連山で最も高い中岳からの撮影にしなかった理由としては、中岳からだと大船山と天の川ぐらいしか組み合わせられなく、凍った御池、大船山、中岳、稲星山と夏の天の川を組み合わせるには天狗ヶ城しかなかったためです。
そして、実はブログやYAMAPにおいても公開はしていないのですが、秋に中岳、久住山、稲星山などの主要の山を縦走しており、地形や道、かかる時間などは既に把握済みでナイトハイクでもいけると確信はしていました。
しかし、今回は新月期で月明かりがないために、ライト+予備ライト+ソーラーランタンを装備しています。
まあ、基本この牧ノ戸峠のコースは稜線沿いを進むのでホワイトアウトやよっぽど変なことをしない限りは迷うことが無い場所です。
さて、今回は久しぶりの天体撮影記+登山記の形でお送りしたいと思います。
2. 今回のルート及び記録について
今回の記録について
【日時】2020年2月23日-24日
【天候】深夜から明け方にかけて大快晴
【山頂気温】0度ぐらい
【活動時間】 7時間45分(うち天狗ヶ城で3時間待機)
【活動距離】9.9 km
【高低差】 657m
【登山で掛かった費用】
駐車場代:無料
YAMAPの活動記録を見ると天狗ヶ城までおおよそ2時間ほどで到着しています。
標準コースタイムぐらいですので、今回の山行については計画通りに登ることが出来ました。
3. 天狗ヶ城からの夏の天の川を追い求めて
牧ノ戸峠に到着したのは2月23日の夕方17時ぐらいです。それまでは温泉に入ったりしたり、車内の片づけをしていました。
その後、仮眠を取ろうとしたのですが中々寝付けなく、うとうととした状態で横になっていた感じです。
トイレで車外に出て寒空の下、夜空を見上げるとそこには雲ひとつなく、澄んだ空気の中で多くの星々が瞬いていました。これは早朝の天の川も綺麗だなぁと思い若干興奮気味で用を済ませ車内に戻りました。
夜中の1時30頃に目が覚めて、登山の準備です。意外とこの時間からも登ろうとしている登山者もいます。てっきり一人ナイトハイクかなぁと思っていましたが安心感が出てきます。
夏山、冬山のナイトハイクは何度か経験ありますが、若干の恐怖感はないといえば嘘になります。が、行動中暗くなったとしてもナイトハイクの経験があれば、万が一遭難等で夜を迎えてもパニックにはなり辛くなると思いますので、一回ぐらいは体験しておいても損はないと思います。ただ、ナイトハイクのリスクもあるので、食料やツェルト等の準備は絶対に必要です。
牧ノ戸峠から最初の沓掛山(くつかけやま)までは150mぐらい登ります。
夜に出会った登山者に聞いた話だと、泥濘が酷いとのことでしたが、夜中に登った時はそのぬかるみは全て凍っていて靴を汚さずに登れました。
稜線歩き中は時たま、ヘッドライトを消して星空を見上げながらの行動です。
久住山の方角には既に蠍座が昇ってきていましたが、夏の天の川撮影は3時半ぐらいに到着すれば全然間に合うのでそこまで焦る気持ちもなく順調に標高を稼いでいきました。
逆に早すぎると山頂の滞在時間が長くなりすぎるので今回の工程はほぼ完璧といっても過言がないぐらいです。
星生山近くの登山道を歩いていると、ふと遠くの方にヘッドライトの明かりが見えました。最初は明るい星とライトを見間違いかと思いましたが、先行者が既にいる模様です。確かに登山道に新しい踏み跡があったのとこんだけ天候がいいので誰かしらはいるだろうと思いつつ、登山道を進み、天狗ヶ城の登り始めました。
天狗ヶ城へと到着したのは深夜3時40分頃です。流石に山頂付近は風が強く、ダウンを着込まないと寒いぐらいでした。
到着してから早速対角魚眼レンズを使って撮影を開始です。
大船山の奥にある明かりは湯布院方面なので湯布院からの光害ですかね?少し気になりましたが夏の天の川の中心を撮影するには問題無さそうです。
今回は中岳方面に撮影者がいましたが撮影の方角的にはこちらを向いていなかったのと、天狗ヶ城自体にも自分しかいなかったので、ソーラーランタンを使って天狗ヶ城山頂標識と天の川を撮影しました。
こういったライトを照らす行為ですが、なるべく明かりを照らすのを短くするのが鉄則です。本来だと月明かりを生かしての撮影が一番ベストですが、今回は新月ということで使っています。ちなみにヘッドライトよりかはソーラーランタン使った方が全域に渡ってわりと自然?に地面を照らされるのでおすすめです。ただし、多用はトラブルの元になるので十分周りに気を使っての使用となります。
今回もEOS R+RF15-35mm F2.8 L IS USMの組み合わせを使っています。
RF15-35mm F2.8 L IS USMは高価なレンズですが、画角15mmから35mmまで対応しており、登山時ではほぼこれ一本で済むので非常に助かっています。星景写真でもサジタルコマフレアや周辺流れなども少ないので星景写真+登山をする人にはかなりおすすめしたいです。というもののこのレンズを持ってる人ほとんど見たことないですけどね…。
凍った御池と夏の天の川。
月明かりがないですが凍った御池はぼんやりと写っています。若干の月明かりがあればこの凍った御池をさらに浮かび上がらせることが出来るのですが、新月期だとここまでが限界ですね。
その後、水平線の向こうで夜明けが始まり再び撮影してみたところ先ほどよりも地上部風景が映るようになってきました。
しかし、この日は本当に空気の良く澄んだ日で多くの星が瞬いてました。
天狗ヶ城山頂からは、九重連山周辺地域の夜景も眺めることができ、その景色は目に焼きつくほど綺麗なものでした。
更に時間が進み、空が白み始めた頃に再び撮影するとそこにはこの時期しか見られない夜明けの天の川が広がっていました。
この色づいた空に浮かぶ天の川は2~3月ぐらいまでしか撮影できない貴重なものなんですよ。
縦構図の方が天の川と御池をきちんと捉えられますね。写真右上に写っているのは人工衛星です。
この景色を見るために山に登るんだ…といっても過言ではないです。寒い中待機していた甲斐がありました。
だいぶ夜も明けてきて、地上風景も上の写真のように綺麗に色づいてきます。
左手に見えるのは祖母山山系、右手の久住山の奥が阿蘇になりますね。
恐らくなんですが空気が澄んでいるので中国地方の山々ちらっと見えています。
中岳には朝日を見るために先行者が既に一人
天狗ヶ城からだと丁度中岳に日の出を遮られてしまうのでちょっと移動。
中岳までは10分もかからずに到着。ギリギリに大船山と日の出を撮影することが出来ました。
再び振り返って久住山の方を撮影です。阿蘇の方もちらっと見えますが、大観峰あたり雲海が出てる感じですね。
2度目の九州本土最高峰へ。九州の最高峰は宮之浦岳になりますが、こちらも登山は計画しています。
池ノ避難小屋。
次の九重連山はミヤマキリシマの咲く時期に再び訪れようかと思っています。特に作戦失敗したミヤマキリシマと星空を撮影したいですからね。今回みたいに3日間ぐらい晴れ時があれば2泊3日で縦走しながら色々な所を撮影して回りたいと思っています。
池ノ避難小屋から牧ノ戸峠へと戻りますが、その前に凍った御池を通って帰ります。
右のピークが天狗ヶ城で3時間ぐらい夜を過ごした場所です。
凍った御池は何度も凍結を繰り返しているようで表面にはヒビ割れが入っていました。
思ってた以上に氷の厚さがあり、人が乗っても大丈夫でしたが流石に中央まで行く勇気はなくちょっと氷の上に乗ってみただけでした。
天狗ヶ城近くになると氷が完全に溶けています。
従来だと完全凍結している時期なのに凍結していないということは今年の冬が以下に暖冬かってことですね。今年の暖冬は温暖化が原因ともされていますが、地球の周期的には温暖化、寒冷化を繰り返しているのでいつかはまた温暖化の時代を懐かしく思う日がくるかもしれません。
4. 天狗ヶ城周辺の空の暗さ
最後に天狗ヶ城の空の暗さについて
九重連山の山中の中なので値としては0.24になります。かなり暗いですが山頂からだと結構離れた距離の光害の影響も受けます。特に大分方面からの光害は結構感じましたね。
5. あとがき
前日の阿蘇山火映に引き続き、九重連山の夏の天の川を撮影出来た今回の旅行は計画としてはほぼ完璧でした。ここまで計画通りうまく行くことはそうそうなくやりきった感が出ました。
ここ最近は、曇りばかりの天気に本当に悩まされてきましたからね…。
ともあれ、阿蘇、九重連山あたりの撮影は5月のミヤマキリシマまではおしまいにしようかと思っています。ただ、桜の撮影スポットで一箇所気になるところも阿蘇の近くにあるのでひょっこりと訪れるかもしれません。
次の天体撮影記は少し先になってしまいますが、どうぞよろしくお願いします。
6. 今回使用した機材