カメラと星景写真の日々

まだ見ぬ星景写真を求めて

カメラと星景写真の日々

光害の中での星景写真撮影のためにNiSiの角型ハーフNDフィルターを導入しました。

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NiSiといえば写真界隈でも有名な角型フィルターのメーカになります。ハーフNDフィルターを使用すれば星景写真の地上の明かりを抑えつつ、星空を綺麗に写し撮れるのではないかということで、実際はかなり前から導入を考えてた機材の一つになります。

なんで今の今まで導入してなかったかというとね…この角型フィルターのシステムめっちゃ高いの!!!なので、有名といっても撮影地で実際に使用している人はそこまで多く見られない代物です。

 

というわけで今回の記事は光害がある中での星景写真撮影のためにNiSiの角型ハーフNDフィルターを購入したので簡単なレビューを行いたいと思います!

 

 

1. NiSiについてとNisiを選んだ理由

元々中国の光学製品の研究開発所として設立された中国のメーカーになります。中国といえば一昔前までは安くて品質的にはそこまで高くない製品が多かったのですがこのNiSiについては高品質で日本にはないような製品を多く生み出しています。

 

角型フィルターのメーカーでは、「NiSi」以外にも「KANI」や「Cokin」や天体撮影のソフトフィルターで有名な「Lee」という会社があるなか何故「NiSi」を選んだかというとHPで製品が見やすく作例のギャラリーなどが充実しているのと実際に利用している人が多く情報が集めやすかったってのがあります。

nisifilters.jp

 

2. そもそも何故ハーフNDフィルターの導入を考えたのか

星景写真の撮影では、星を写し撮るために基本的にISO感度や露光時間を長くすることが多く、地上部に街灯やその他光があると地上部の露出がオーバーになってしまい星景写真としては微妙な写真になってしまいます。

実際の参考写真としては下記のような感じ

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この写真は涸沢カールで撮影した写真で涸沢のテント場とオリオン座含め冬の大三角形を狙った写真を撮影しようとした時です。しかしながら、上で書いたとおり、地上部のテントの明かりやヘッドライトをつけて歩く人の明かりで地上部の露出がオーバーになっています。

これを解消するためには地上部の明かりを減光して星空の部分を通常の露光で撮影する必要があります。*1

 この問題を解決できるのが半分はNDフィルター*2で減光できる仕様になっているハーフNDフィルターです。

 

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これがあれば地上部のみの露光を抑えて、星空は通常の星景写真の露出で撮影することができます。

 

それと実は「NiSi」のHPでハーフNDフィルターを調べると角型ハーフNDフィルターには4種類あると書かれています。

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(参考:https://nisifilters.jp/system-2#1523630778117-0128cd80-4a4b)

 種類としては「ソフトGND」、「ハードGND」、「リバースGND」、「ミディアムGND」の4種類。

それぞれどういうものかと説明すると、

 

 「ソフトGND」はNDの暗い部分と、透明な部分のグラデーションが緩やかになっているタイプのハーフNDフィルターで、前景と空の間に突起物等はある場合に最適なもの

 「ハードGND」は暗い部分と透明な部分のグラデーションが短く、水平線上に突起物が内容な海での使用に最適なもの

 「リバースGND」はグラデーションが短く中央部にND効果が最も現れているもので対応が沈みかけの時に露出を抑えるのに最適なもの

 「ミディアムGND」は「ソフトGND」と「ハードGND」の中間的なグラデーションとなっていて汎用性が高いもの

 

ハーフNDフィルターデ4種類あるのでどれを購入するか悩やみましたがとりあえずNDの暗い部分と透明な部分のグラデーションが緩やかになっているタイプの「ソフトGND32」を購入してみました。

ただ、購入後実際に使用して思ったのが、「ソフトGND」じゃなくて「ミディアムGND」の方がよかったんじゃないかと思いました。(これについては後述)

 

3. 角型ハーフNDフィルターの必要性と必要な「ホルダー」について

星景写真で私が最もよく利用する「TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD  A012E」は出目金レンズなので通常の円形型のフィルターを取り付けることができません。

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そこでこうした出目金レンズに対して必要になってくるのが角型フィルターを取り付ける「ホルダー」です

しかし、この「ホルダー」はどのレンズにも使用できるわけではなくきちんと専用の「ホルダー」が決まっています。「NiSi」の「TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD  A012E」に使用できるフィルターホルダーは150mm Systemでその中ではQホルダーとS5シリーズのホルダー2種類があります。

・Qホルダー

NiSi 150 Filter Holder Tamron 15-30 タムロン15-30mmレンズ専用
 

 S5 PRO

NiSi S5 PRO フィルターセット for Tamron 15-30mm f/2.8

NiSi S5 PRO フィルターセット for Tamron 15-30mm f/2.8

 

最新のホルダーではS5シリーズというホルダーがありますが下記サイトで書かれているように登山時に嵩張りそうな点で自分も通常タイプのQホルダーにしました。(値段もちょっと安いし、夜間だとPLフィルターとか中々使わないしね)

www.for-toru.com

 

4. NiSiの角型ハーフNDフィルターとQホルダー開封の儀

購入の経緯を理由をつらつらーというわけでIYHerしたNiSiの角型ハーフNDフィルターとQホルダー開封の儀に移りたいと思います。

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もう何年も前から買おう買おうと思っていましたが結局他の機材を優先してずるずる買わずに来てしまいましたが遂に遂に導入しました。NiSiの角型ハーフNDフィルターのパッケージデザインってどれも美しい写真が用いられているので箱を捨てるのも惜しくなります笑

 

まずは、Qホルダーから

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Qホルダーの素材は航空機グレードのアルミニウム素材から作られているのでとても軽く、高級感が漂っています。

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重量を計ってみましたが293.1gとアルミニウム製なので非常に軽くこれなら登山でも然程重荷にはならないと思います。

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早速、「TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD  A012E」に取り付けてみました。

これつけてるだけでもこう何ていうか腕はともかくガチな写真家って感じしません?

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レンズに対しての位置合わせはこのピンによって決められます。ガタ付き等のなく専用設計なのでしっかりと取り付けられることができました。

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Qホルダーとレンズは左右にあるロックネジを締め付けることで固定されます。ここをしっかりと固定しないと外れる場合があるので注意!(フィルター落とすと泣くになけませんからね)

 

続いて角型ハーフNDフィルターについて

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箱から取り出して見るとまさかの合皮のケースが用意されている…。(この合皮なければもうちょい安(おっと誰か来たようだ)

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購入したのはソフトグラデーションタイプのソフトGNDで確かに中央部分のグラデーションは緩くなっているのがわかる。

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ちなみに重量は131.3gと軽く、Qホルダーとも合わせても430gしかない。

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しかし思ったのが実際に手にして見ると結構サイズ的に大きいので登山の収納場所にはちょっと悩む。

 

それではQホルダーにソフトGNDを取り付けて見ると

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こんな感じになります。

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Qホルダーには角型フィルターを3枚取り付けることができますので、NDフィルターの重ねがけ、PLフィルターとの組み合わせも使用出来ちゃいますので撮影の幅はかなり広がります。

角型フィルターは上の写真の凹凸部で固定されているがこの部分は使っているうちにへたってきて場合によっては角型フィルターが落ちるってことも考えられる。一応取り外し可能になっているっぽいのでもしかするとNiSiに連絡すれば部品を売ってくれるかもしれない。

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購入する前は知らなかったが、Qホルダーは上記のように傾けられ光量を抑えたい部分に合わせることができるので非常に便利だ。

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ちなみにQホルダーを取り付けた状態においても一応フロントキャップが取り付けられるようになっているのでレンズがむき出しのままにはならない。

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注意してほしい点としては指紋が角型フィルターにつきやすいこと。なので、素手でべたべた触っているとあっという間に周囲が汚れる。使い終わったら指紋のついた所を綺麗に清掃しておく必要性がある。

それと、NiSiの角型ハーフNDフィルターはガラス製なので取り扱いには本当に気をつけなればならない。個人的にはおっちょこちょいなのでNiSiの角型ハーフNDフィルター落として割っちゃいました的なブログ記事を将来的に書きそうな気がしなくもない…。でも割ったら諭吉先生3人分だもんなぁ本当に気をつけよう。

 

4. 地上部に街明かりがあるなかでハーフNDフィルターを使って見た。

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上の写真は角型フィルター無しの状態で撮影した写真になる。撮影地は佐世保の弓張岳で驚いたことにこんな光害の中でも天の川が写っている。しかし、地上部の露出が完璧にオーバーしているのでPhotoshopで現像しても救いようがない。

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というわけで角型ハーフNDフィルターのND32を使用すると夜景の中に浮かぶ天の川を撮影することができた。ND32だとまだ減光が足りない感じだがそれでも上の写真に比べるとかなりましな状態だ。ちなみに両方とも現像はしていない撮って出しの状態である。

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横並びもご参考に

 

続いては長崎県にある生月島にかかる生月大橋と天の川の作例

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この場所についてはハーフNDフィルターがなくてもある程度撮影することができるが参考のために使用してみた。

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右の街明かりと橋の明かりの光量が抑えられているのがわかると思う。

最後に同じく長崎県平戸島にある平戸城と天の川をNiSiの角型ハーフNDフィルターを使い撮影してみた。

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恐らくこの作例が最もNiSiの角型ハーフNDフィルターの効果がよくわかる写真だと思う。

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左がNiSiの角型ハーフNDフィルター無し、右がNiSiの角型ハーフNDフィルター有り

このような多くの街灯がある中での角型ハーフNDフィルター効果が最も発揮される。もちろん、Photoshop LRの段階フィルターを使えば地上部の明かりはある程度抑えられるが、元の写真の地上部の露出がオーバーしている場合は段階フィルターを使っても露出オーバーした部分を補正することができない。

 

と、それともう一つNiSiの角型ハーフNDフィルターで気をつけないといけないのが、上の平戸城と天の川の写真で四隅にオレンジ色が出ているのがわかるがこれは近くの街灯がNDフィルターに反射してしまい写り込んでしまったものだ。

NiSiの角型ハーフNDフィルター取扱説明書にも書いてあるが、こうした事を防ぐためにはホルダーのフィルター差し込みの一番手前のスロットにフィルターを差し込む必要がある。ここは一番手前のスロットにフィルターを入れておかないと後で「うわぁああ」ってなること間違い無いので注意してほしい。

 

とりあえず思ったとおりNiSiの角型ハーフNDフィルター地上部の光害の中でも星景写真に十分使えそうだ。もちろん星景写真以外にも夕景撮影、朝の撮影にも絶大な効果を発揮しそうなのでこれからが楽しみだ。

ちなみにNiSiの角型ハーフNDフィルターはまだND32しか持っていないがこれからお金が貯まり次第追加で購入していきたいと思っている。

 

5. TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USDの150mm 角型フィルター商品一覧

TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USDを使用している人ようのまとめ

S5 PRO CPLキット Tamron 15-30mm f/2.8

S5 PRO CPLキット Tamron 15-30mm f/2.8

 

でかさばっても問題ないなら円形フィルターも使用できる S5 PROセットがいいと思う。

NiSi 150 Filter Holder Tamron 15-30 タムロン15-30mmレンズ専用
 

 登山で使用する場合はかさばらないQホルダーがオススメ。

NiSi 角型フィルター 150mm NDフィルター ND1000 150×150mm
 

使う用途が決まっていれば個別買いの方が一応予算的には安く済むけど、もしNDフィルターやソフトNDフィルターそして、専用ケースが欲しい場合は下記のセットがお得

NiSi 角型フィルター 150mmシステム アドバンスキット
 

 

*1:もちろんこの光が発生している部分を黒い紙とかをレンズ手前でスライドさせながら減光するという一番お金がかからず手取り早い方法がありましてそちらも試してみましたがどうもしっくりきませんでした。(やり方が下手だっただけかもしれませんが…

*2:NDフィルターとは、Neutral Densityの略称で光量を減少させることができるフィルター