星景写真の撮影では、星を流れないようにシャッタースピードをなるべく少なくする代わりにISO感度を上げて高感度撮影を行うことが基本です。
ただし、ISO感度を挙げるを上げてしまうとノイズが発生し写真の画質劣化につながってしまいます。*1
この高感度のノイズ低減の方法としては、高感度で撮影した写真を複数枚重ね合わせる(以下スタック)ことでノイズを低減します。この方法は星雲などを撮影する星野撮影で一般的に使われている手法になります。
しかしながら、星景写真の場合では地上風景は動かないですが、地球の自転により星の位置が変化していきます。そのため、合成しても星が線のような軌跡となってしまいこの方法は使えません。また、星を追尾する赤道儀では逆に地上部が移動してしまうのでそれまたこの方法は使えません。
そこで、Photoshopなどで地上風景と赤道儀で撮影した写真をそれぞれ別に分けてスタックすることでこの問題を解決できますが結構手間暇がかかります。
その問題の解決策として星の部分を回転や平行移動させて星の位置を自動に合わせてなおかつ地上部分も自動的にスタックしてくれる星景写真のMac用のノイズ除去ソフトStarry Landscape Stackeになります。
Starry Landscape Stackeについては、既に星景写真で使用している人も多いですが、有料4800円とゲームソフト一本買えちゃう値段なのでしばらく導入していなかったのですがちょっと使ってみようと思い購入してみました。
Windowsでは無料の「Sequator」がありますので、Windows使いは下記サイトを見ながら使うのが一番かと思います。
- Starry Landscape Stackerの使い方メモ
- 1. WorkFlowについての説明
- 2. 星の位置選択「Adjust Dots in Sky」
- 3. 空のマスク領域の選択「Adjust Sky」
- 4. 写真の基準選び「Adjust Sky」
- 5. 写真の合成「Align & Composite」
- 6. 出力結果
- まとめ:星景写真のMac用のノイズ除去ソフトStarry Landscape Stackerの使ってみて。
Starry Landscape Stackerの使い方メモ
導入自体はApp Storeで「Starry Landscape Stacker」と検索すれば出てきますのでそこでソフトを購入してダウンロードします。
ソフトを開くときには英文で説明書を読むかと出てくるのですが、そこで「No, Thanks」にして閉じます。その後、ファイルの指定画面が出てくるので合成枚数を選びます。Starry Landscape Stackerの開発者によると10枚でノイズ低減の効果がわかるものの可能であれば、15枚はあった方が良いとのことです。これは星野撮影スタックする枚数が多いほどノイズ低減は増すので最低でも10枚は撮影しておくのがベストです。
「Starry Landscape Stacker」は上で紹介した「Sequator」と違いRAWファイル対応ではなく(有料ソフトなのに!でもありがたいけど)、Photoshop Lightroomなどで16ビットのTIFF((「Tagged Image File Format」の略称で詳細な画像情報があるため再現性に優れており高解像が必要な場合によく用いられるやJepgに変換しないと使うことが出来ません。
Jpegだと大幅に画像情報がカットされてしまうんので出力するなら詳細な画像情報があるTIFFで出力した方がいいです。
1. WorkFlowについての説明
Work Flowは「Adjust Dots in Sky」, 「Adjust Sky」, 「Align with」, 「Align & Composite」の4つのワークフローはある。
「Adjust Dots in Sky」については、流れる星の位置指定するワークフロー
「Adjust Sky」については、マスクにより空を指定するワークフロー
「Align with」はどの写真を基準としてスタックしていくかのワークフロー
「Align & Composite」は合成の方法についてのワークフロー
2. 星の位置選択「Adjust Dots in Sky」
読み込みが完了すると星の上に赤いマーカーが配置される上記のような画面になります。これは、位置合わせの補正量算出のためだけに使われるため、全ての星に合わせる必要がないとのことです。ただし、星以外に赤い点がある場合は、「Erase red dots」で消去していきます。これ、水面のリフレクションに星が写ってるともしかすると地上部に多くの赤い点が配置される可能性がありそうですね。
3. 空のマスク領域の選択「Adjust Sky」
FInd Skyを選択後上記の画面が出てきます。このときに空の領域は青いマスクで表示されているので空の領域を青く塗りつぶします。ただ、地上部にもマスク指定されているときはPaintの「Ground」を選択し青いマスクを消す必要があります。
「Adjust Sky」では、マスクの濃さやブラシサイズを変えるところがあります。
4. 写真の基準選び「Adjust Sky」
この画面では、読み込んだ写真ファイルの中からその写真を使ってスタックしていくかを決めていきます。基本的には時系列の真ん中の写真を使用すればいいので特にいじる必要性はありません。
5. 写真の合成「Align & Composite」
どうやらVersion 1.7で6つの項目に増えたようです。下記サイトがStarry Landscape Stackerについて詳しい説明がなされていますがVersionが違うのでここだけの説明がちょっと足りなくなっています。
「Max Value」は流星や飛行機を残す場合に使用するものなので通常は使用しません。
「Min Value」はどうも使い所がわからないけどノイズ量的には少なくなってないので使用しない。
となると、「Min Horizon Noise」「Min Horizon Star Dupe」「Mean Min Horizon Noise」「Mean Min Horizon Star Dupe」の4つが選択候補に残ります。
各画面を変えた場合にどのような変化があるか見て見ました。
「Min Horizon Noise」
「Min Horizon Star Dupe」
「Mean Min Horizon Noise」
「Mean Min Horizon Star Dupe」
4つを比較してみると「Dupe」の名前がつくと黒い筋みたいなのが入っています。「Dupe」の単語の意味は「だます」とあります。一応、Version 1.7の説明動画と説明文では、「Min Horizon Noise」では、空のマスク端のノイズを最小限に抑えるために使用し、多くの人にとって最も良い結果をもたらすと述べられいます。一方で「Min Horizon Noise」のアルゴリズムでは、空のマスクで星を追尾したり複製したりする場合があるのでその場合は、「Min Horizon Star Dupe」を使用した方がいいと書かれています。
「Mean Min Horizon Noise」,「Mean Min Horizon Star Dupe」の違いについても最小値か平均値の違いなので上記で使い分けるのではないかと考えられます。まあ、私は英語全然できないので間違ってるかもしれませんので下記動画と説明サイトを確認してください。
Starry Landscape Stacker Version 1.7
今回は、「Dupe」では黒い線が入っているので「Min Horizon Noise」か「Mean Min Horizon Noise」のどちらかを選択に絞られます。
画像を拡大してみるとノイズ量的には「Mean Min Horizon Noise」が減っていたのでノイズをただ単に減らしたならば「Mean Min Horizon Noise」を選択すれば恐らく最良の結果が得られるのではないかと考えます。
6. 出力結果
右の写真が「Mean Min Horizon Noise」で出力した結果で、左が元画像になります。
スタックしているので当たり前ですがものすごくノイズ量が減っているのがわかります。なお、今回撮影した写真のISO感度は8000になります。
Lightroomの比較画面でも滑らかになっているのが見て取れますね。地上部と空の領域も違和感なくスタックされているのでパッと見は一枚撮りのようです。
拡大するとなおさらノイズ量が減ってることがわかる。今まで使わなかったのがちょっと勿体無いですね。
今回は枚数の違いによるノイズ量の変化については検証していないですが次回にちょいと検証してみたいかと思います。
まとめ:星景写真のMac用のノイズ除去ソフトStarry Landscape Stackerの使ってみて。
・Starry Landscape Stackerは有料ですが慣れれば手間暇かからずにノイズが少ない星景写真を合成出来ます。
・撮影場所にもよりますが空が暗いところなら更に高感度で撮影し、スタックする枚数を増やせば綺麗な天の川を撮影できるかもしれません。
正直もっと早くから使用していればよかったですね…。