- 1. まえがき
- 2. 屋久島 宮之浦岳について
- 3. 屋久島 宮之浦岳から見る星空 〜まだ見ぬ星景写真を求めて〜
- 4. 宮之浦岳付近の空の暗さについて
- 5. あとがき
- 6. 勝手に撮影地ランキング
- 7. 使用機材
1. まえがき
まだ見ぬ星景写真を求めてこれまで色々なところを巡ってきました。
今回は星景写真の撮影計画の中でも最も難易度が高く、そして総合力が求められるまさに集大成とも言える鹿児島県 屋久島の宮之浦岳の天体撮影記になります。
そして今回はあえて天体撮影記にあえて番号を振っていません。それぐらい今回は思い入れ強い撮影になります。
屋久島は一ヶ月に35日も雨が降ると言われるほど年間降水量が多いです。暖流である黒潮がぶつかるため海水温が高いため水蒸気の量が多く、さらに洋上のアルプス、九州一の高さを誇る山々があるためその山に湿った空気があたり雲が非常に出来やすい条件が整っています。
そのため、天候が一晩中晴れる日が少ないのです。また、宮之浦岳についても基本は1泊2日でたどり着く山で途中無人小屋ばかりで人が少なく登山レベルとしては比較的高い分類に入ります。そんな中での撮影なので、準備等を進めてきてついに今年実行に移しました。
さて、今回の天気図の紹介です。
天気図参考は気象庁|過去の天気図より
宮之浦岳の登山では天気が難易度に大きく左右されるため、天気予報次第では見送るという選択肢もありました。
特に今年は梅雨前線の形成が例年に比べて早く、雨が降りやすい条件が整っていたからです。
4月後半から5月前半の梅雨入りの前にある移動性低気圧が抜けた後に移動性高気圧が入ってきて入山するのが理想的なパターンです。
今回の天気図はちょっと異なっており、北海道付近にはる低気圧が高気圧を押し下げてその高気圧により梅雨前線が沖縄本島付近まで下がったことで安定した天候になったことです。
天気図には図示されていないですが、弱い高気圧がちょうど深夜に屋久島の真上あたりに来ており高気圧特有の下降気流によって雲が出にくくなっています。
ただ、あくまでも理想のパターンで必ずしも雲が発生しないとも限らないので(天気は複合的なので)一応賭けで訪れています。
もちろん九州一高い山である宮之浦岳を登るという目的もありましたし最悪星空が撮れないってこともまあ考えていました。
2. 屋久島 宮之浦岳について
宮之浦岳は標高1936mで九州地方最高峰の山となっています。
登山コースは多岐に渡りますが一般的には荒川登山口から縄文杉を経て新高塚小屋に泊まり翌朝出発して宮之浦岳を目指す登山コースと淀川登山口から花之江河を経て宮之浦岳を目指すルートが一般的に使われています。
宮之浦岳は基本的には1泊2日で目指すルートですが、淀川登山口から早朝出発すれば日帰りで登ることもできなくはないです。
また、天気がよければいいのですが雨などが降ると山小屋から宮之浦岳まで距離があるため途中撤退が難しく遭難の確率が高くなります。
登山難易度的には体力があれば初心者でもいけますが、上記のとおり天候次第で難易度が一気に変わりリカバリーも効きにくいので登山初心者だとガイドツアーを頼んだ方がいいと思います。
3. 屋久島 宮之浦岳から見る星空 〜まだ見ぬ星景写真を求めて〜
山頂にたどり着き撮影した宮之浦岳から見る天の川。海に浮かぶ洋上のアルプスの周囲には大きな街などなく、星の光がそのまま目に入ってくる。
光害としては、多少屋久島内の街明かりや漁船の漁火があるが、夜空の暗さに対しての影響は少ない。
天候は雲一つない晴れ。
しかし、大陸からの黄砂の影響が出てしまい地上部付近が見えなくなっている。
これまで撮影した中では最高クラスの暗さを誇るが、目視での天の川は限度があるらしく、種子島や与那国島で見た天の川と同じくらいの印象を受けた。ただ、もし黄砂がなければまた違う結果だったかもしれない。
前景が何もないので星景写真とはちょっと言いにくいところがあるが、それでも宮之浦岳から夏の天の川を撮影したという人は殆どいないと思う。
薄明が始まり地上部が見えてきた。写真を見返すと黄砂の酷さが改めてわかる感じだ。
4. 宮之浦岳付近の空の暗さについて
数値はまさかの0切って-0.10…。というかマイナスの値あったんだって感じです。
離島+奥深い山岳地形なのでこの数値には納得します。実際見える星もまるで降り注いでくるような感覚に襲われるほどです。
もちろん宮之浦岳だけではなく屋久島全体も暗いので海岸沿いからでも十分に星空を堪能できると思います。
5. あとがき
これまでの離島撮影経験や登山経験などの集大成ともいえる屋久島 宮之浦岳での天の川撮影は計画している撮影の中でも最も難しい計画でした。撮れた枚数や構図としては微妙ですが、正直やり切った感がかなりあります。
登山についてもタイムラプス用のEOS R5+一枚撮りのEOS R6とレンズ2本(RF15-35mm F2.8L IS USM,シグマ 14-24mm F2.8 DG HSM)と三脚2本、さらに登山道具合わせると20kg弱の荷物を背負っての挑戦でした。
天気についてはGPVを活用して、移動性高気圧によって前線が押し下げられるタイミングを図っての入山を狙っていたのでそれがうまくいったことも良かったです。ちょうど高気圧が屋久島上空に入り、下降気流によって山頂にも雲が全くでなかったのも幸いだったと思います。
さて、いつまでこの天体撮影記を続けられるかはわからないですが、今後も引き続き撮影を続けていきたいと思っています。
6. 勝手に撮影地ランキング
撮影地の環境:☆
空の暗さ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
少なくとも片道4~5時間、帰りも5時間以上と往復で10時間かかるコースなので撮影地の環境としては最悪です笑。
また、トイレとかもないので携帯トイレの常備も必要になってきます。
ただ、空の暗さは恐らく日本国内の中でも屈指の暗さを誇ります。
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7. 使用機材