1. 黒部五郎岳へ
3泊4日のテント泊、4日目は黒部五郎岳のピークを取ってから北ノ俣岳、そして太郎山を超え、1日目の太郎平小屋へ戻り、後は折立駐車場へと下るルートとなります。
早朝4時半頃にテントと荷物を片付けて、暗い中、ヘッドライトの光を便りに出発。
4日目となると足の疲労が溜まっているが、膝の痛みや爪が割れたりといったことがないので、問題なく歩けました。しかし、黒部五郎岳まで登りの標高差は500mほどなので、標高差としてはそこまできつくはないが3日間の足への疲労と荷物の重さでペースは落ちていたと思う。
最初は木々生茂る中を歩くがしばらくすると黒部五郎岳のカールが見えてきます。
天候は生憎の曇りですが、雨に降られるよりかは全然マシです。
真ん中左側に見えるのが黒部五郎岳の山頂となります。あの山頂を上り終えればこの後はほとんど下りペース
シルバーウィークが終わり、登山客がいない静かな山となる。出発から2時間ぐらい経っているがここまで、人には一切会わなかった。
振り返ると、山の谷間に溢れた雲海が流れ込んでいた。素晴らしい景色
小動物の糞だと思うが、ツキノワグマの糞の可能性もなくはない。こうした糞が至るところにあったので、周囲への警戒をしながら登った。
カール内は緩やかな登りで歩きやすい。
ちょっと現像のテイストを変えてみたり。
黒部五郎岳は何となく曇りの空が似合う気がする。まさにラスボスって感じだ。
その後少し、青空が見えてきた。1日中曇りかと思っていたのでこれは想定外だ。
この大自然の中にいる感じがひしひしと伝わる。
日常から非日常の世界。ただ、ありふれた日常があるからこそこの非日常的な光景が心に残るかもしれない。
カールをしばらく歩くと黒部五郎岳の肩へと続く登りがある。
4日目の中で一番きつい登りとなる。
登りながらカール全体を撮影してみたが、15mmの広角でも足りていなかった。
登りを終えると、太郎平へと続く稜線が見えてきた。あとは黒部五郎岳のピークをとり、この稜線を歩いていくだけだ。
といっても折立登山口まで残り15km以上あるので全行程18kmの中の1/6しか進んでいない。
黒部五郎岳の肩からカールを
1日目に登頂した、薬師岳
黒部五郎岳の肩で荷物をデポして黒部五郎岳への登頂を目指す。登山時間は10分ほどしかかからない。
この右側へと行くと太郎平へと戻れる。
登ってきた稜線と、雲が取れ、水晶岳、鷲羽岳、雲ノ平と踏破してきた山々が現れた。
太郎平への稜線ルートをモノクロで現像してみた。やっぱりモノクロだと雰囲気がかっこよくなる。
モノクロじゃないVer
薬師岳を含めたVer
最後のピーク、黒部五郎岳へはあとちょっとだ。
黒部五郎岳の山頂へ登頂。
日本百名山の一つでもある黒部五郎岳の五郎というのは人の名前ではなく、山中の岩場のことをゴーロといいそこから五郎と名付けられたみたいだ。
それと五郎と名がつく山は野口五郎岳もある。
野口五郎だけと区別するために黒部川源流近くにあるため黒部五郎岳という名がついたとのことだ。
標高は2,840mとなる。山頂からはこれまで歩いてきた登山道、そして、雲ノ平、水晶岳、鷲羽岳、薬師岳と北アルプスの山を一望できる。
槍ヶ岳も黒部五郎岳から見えるはずだが、この日は雲に覆われていた。
山深いが、遠くに目を凝らすと人里が見える。黒部五郎岳単体なら1泊を太郎平小屋で頑張ればその日中にピークを取って折立登山口まで下山することができるが、20時には有峰林道が閉鎖され通れなくなるので少しリスキーになる。
この北アルプスの登山の目的だった山、全て登ることが出来た。
実は、雲ノ平を経て、双六小屋、槍ヶ岳、新穂高へと降りていく登山計画も浮かんでいたが、今回このコースを選んで正解だった。
さて、いよいよ太郎平へと下山する。4日間もお風呂に入っていないので正直のところ早く温泉に浸かりたい。
太郎平までの稜線はなだらかではあるが、アップダウンが多いので意外とキツく感じる部分がある。
黒部五郎岳は、太郎平方面からよりも三俣蓮華山から見た方がかっこいいと思う。
コース上は特段危ないところはない。けど、長距離を歩いている場合だとちょっとの浮石でも転ぶので油断大敵。
太郎平までの稜線で最も標高が高い北ノ俣岳へとたどり着いた。
遠くにゴールである有峰湖が見えてきた。
長い北アルプスの山行も終わりに近づいている。
その終わりを天が祝ってくれるように青空が広がってきた。
あとのアップダウンは太郎山のみとなる。
木道に変わり、遠くに見えていた薬師岳も近くに見えてきた。
最後の稜線はなだらかであるが、体力的にはほぼ限界を迎えているので亀が歩くみたいなペースで進んでいった。
ただ、それでも青空が雲の隙間から見え、太陽の光を感じられるだけでも気分的には楽だ。
これが、雨だったら道中で心が折れていたかもしれない。
最後の登り、太郎山へと進む
太郎山といってもなだらかな山でどこがピークかわからない。けれどもせっかくここまで来たのだからピークを踏んできた。
そして、1日目の太郎平小屋へ遂に到着
1日目に食べた、太郎平小屋のラーメンを再び注文した。いやこのラーメンインスタントラーメンだと思うけどそれでもやっぱり美味しい。
シルバーウィーク中は人が沢山いたが、シルバーウィーク明けは殆ど人がいなかった。少し寂しい気もするが静かな山を歩くなら平日が一番いい
そして、折立登山口へ
ここからは、下山に集中して写真をほとんど撮らなかった。また、青空が広がっていたがこれは典型的な擬似好天で翌日は大雨となった。
下山後は富山から九州へと帰る1000kmのドライブが再び待っている。
こうして、車で往復2000km+徒歩56.5kmの旅が終わった。
2. あとがき
これまでの登山では、槍ヶ岳の一泊二日の登山が最もキツかったが、しかしこの時は標高差があるものの小屋泊なので荷物の重量が軽くまだましだったかもしれない。
今回の北アルプス 薬師岳~雲ノ平~祖父岳〜水晶岳~鷲羽岳~黒部五郎岳 3泊4日のテント泊では九州から1000km以上のドライブ(往復だと2000km以上)からの3泊4日のテント泊装備なので難易度としてはナイトメアモードのようだ。
ただ、怪我もなく、天候不良もなく無事にこの登山行程を終わらせられたのは運が良かったのだと思う。今回の登山で問題なく行動出来たのは経験というよりも天候を味方につけたただその一言で終わると思う。どんなに経験があっても天候不良になるとトラブルが増えやすくなる。なので、天候不良の中での登山は控えた方がいいとずっと思っています。
ただ、登山装備や歩き方とかについてはこれまでの経験が生かされいる部分はあります。
特に登山装備についてはなるべく軽量化しつつも無理のない範囲での装備を揃えられたと思う。まだ、改善点があるもののほぼ装備については固まってきました。
その集大成が今回の3泊4日の縦走登山だと思っています。
ただし、今回は比較的難所となる箇所が少ないので、難易度高い縦走コースなどはまだ未経験で装備については変わってくると思います。難易度高い縦走コースの挑戦もしていきたいのですが、あくまでも写真がメインなのでどこまで挑戦していくかは悩みどころ…。
それでも九州から北アルプスへ行くのは大変なので長期休暇が取れるタイミングで行きたいと思っています。ちなみに次は…昨年行けなかった劒岳を予定しています。