カメラと星景写真の日々

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【天体撮影記 第136夜】 夜の帳が下り、ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が夜空を彩る

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1. 前書き

starryheavens.hatenadiary.jp

前回に引き続き、再び撮影チャンスに恵まれたので、「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」を撮影してきました。

天体撮影記 第135夜から2日ほど経過していたので、前回撮影した時よりも高度を上げていました。

GPV予報は雲り予報だったので、撮影に出るかどうかは、日の入り1時間前から頭を抱えてて悩んでいましたが、ひまわり8号の衛星画像をみると一部地域の海岸は晴れていました。

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この日の天気図を見ると、太平洋高気圧から前線にかけて南西からの湿った空気が陸地にぶつかり雲が出来やすい状態だった。

しかし、海岸付近は雲の影響下に入っていなく、晴れているところが多かった。

さらに朝鮮半島近くに、冷帯前線と温暖前線を伴った低気圧があり、梅雨前線みたいな停滞がなかったため、意外と晴れ間が広がったと思われる。それでも、普段ならこの天気図を見て撮影には出ない。

ただ、週末に入ると月の明かりの影響は出てくるので何としてもこの新月期に撮影したかったのもある。

 

とりあえずダメ元でも撮影に出撃したところ、前回以上の「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」が撮影出来たのでその記録を綴ります。

 

2. 夜の帳が下り、ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が夜空を彩る

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(撮影設定 露出時間:8秒、絞り:F2.0、ISO:4000)

撮影カメラはEOS 5DMarkⅣと撒き餌レンズのEF50mm F1.8 STMを使用しました。

ボディはともかく1万円ちょいのレンズでここまで彗星が写る。もちろん周辺部はサジタルコマフレアとかが酷いけど…

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今回は、前回の失敗を踏まえて、撮影設定は露出時間:8秒、絞り:F2.0、ISO:4000としたところダストテイルだけではなく、前回撮ることが出来なかったイオンテイルも撮ることができましたが、これは本当に嬉しかった。

肉眼でも、薄っすらお彗星核と尾を目視することが出来た。ただ、今回の撮影場所は夏の天の川をはっきりと目視できるところだったので、街中だと双眼鏡を使わない限りは見ることは難しいと思われる。

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こちらはEOS RとRF15-35mm F2.8L IS USMを使って撮影した写真

画角は30mmで撮影したが、ダストテイルとイオンテイルがかなり長くまで伸びていることがわかる。

かなり暗いところだと北斗七星の柄杓近くまでイオンテイルが伸びているのがわかる。

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 (撮影設定 露出時間:8秒、絞り:F2.0、ISO:2500)

防湿庫の肥やしになっていたSIGMA 135mm F1.8 DG HSMを引っ張り出してきて彗星核から、イオンテイル、ダストテイルを捉えてみた。

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 ただ、そのまま135mmで長時間露光すると星が流れてしまうので今回はビクセンの「ポラリエ」を使用している。

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 実際には、彗星は高速で動いているので星の日周運動とはまた違った動きがあるが、影響が出てくるのはかなり長い長時間露光の時のため、一分ぐらいなら恐らく簡易赤道儀でも問題ない。

「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」については135mmの画角が丁度イオンテイルとダストテイル両方を撮影するには良い画角だった。

星野写真を撮影している人たちには到底及ばないが、素人レベルでもここまで撮れただけでも十分だとは思っている。でも、やっぱりもっとしっかりしたのが撮りたいなぁと思っているので今後星野撮影にも手を出していきたいと思った。

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次の日も天候が良かったので更に露出時間を1分ほどにして撮影した。しかし、漁船の漁火が酷く、また湿度も高くガスが出ていたので、条件としては良くなかった。しかし、露出時間を更に撮ることで、イオンテイルがよりはっきりと写しとることができた。

 

3. あとがき

「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」については、九州北部の天候が悪い中で4日間の撮影に恵まれたが湿度が高く、最高の条件での撮影とは程遠かった。けれども、この梅雨の時期にイオンテイル、ダストテイル、そして目視での「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」を観測出来たことは運が良かったと思う。撮影条件下としては、今回の「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」は北海道が一番ベストだったのは羨ましいなぁと思う。 

そして、人の目で目視できる彗星に関しては、今のところ、10年に1度のペースだが、突然大彗星が現れるのでもしかすると来年「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」よりも凄い彗星が来るかもしれない。

今回の撮影を踏まえて個人的な備忘録で彗星の撮影についてのまとめ記事を書く予定です。初めての大規模な彗星撮影だったので色々と改善点が多く、また必要だと思う機材もあったと痛感しました。 

彗星の科学―知る・撮る・探る

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