1. まえがき
天体撮影記 第130夜は、坂梨展望台より阿蘇五岳の一つである根子岳と夏の天の川の組み合わせになります。
天体撮影記 第116夜では、根子岳南側から北側の空を狙い根子岳と星空の軌跡を撮影しましたが今回はその反対側にある坂梨展望台という所から根子岳と夏の天の川を狙いました。
この日は池島で撮影した日に匹敵する空の澄み具合でした。
今回の記事から、「地上天気図」の記録も合わせて残しておきたいと思います。
天気図参考は気象庁|過去の天気図より
大陸からの高気圧の張り出しで一晩中快晴になったと思われます。阿蘇周辺だとやや弱い冬型の気圧配置だと雲が発生しやすいですが、今回の天気図のような西風が入ると好天となる傾向があるのではないかと個人的に思っています。
本職だと「850hPa天気図」、「700hPa天気図」、「500hPa天気図」、「300hPa天気図」など使って総合的に分析すると思いますが、自分はあくまでちょっと天気図に興味がある程度なので「地上天気図」オンリーで…
(一応「850hPa天気図」、「700hPa天気図」、「500hPa天気図」、「300hPa天気図」も残しておきます。)
それと、前回の池島の天気図も見てみると今回と同じような気圧配置になっています。
九州全体としては東シナ海に高気圧があると快晴になるように読めます。が、あくまでも「地上天気図」のみなので参考程度としてです。
2. 坂梨展望台周辺の空の暗さ
坂梨展望台の光害値としては0.27になります。0.15以下の値ではないのですが、かなり暗い夜空が広がっています。特に阿蘇の東側については大きな街がないため、光害が少なく星が降ってくるような星空を見ることができます。
しかし、西側に目を向けると阿蘇市や熊本市の光害の影響をかなり受けます。
今回久しぶりに全集魚眼レンズを撮影しました。右側が熊本市、阿蘇市方面ですが、かなりの光害があることがわかります。一方で東、南側の空は大変暗く夏の天の川も目視ではっきりと見えるぐらいです。
3. 坂梨展望台から阿蘇五岳の根子岳の頭上に浮かぶ夏の天の川
「電信柱と夏の天の川」
4月下旬にもなると夏の天の川を見つける星座として有名なさそり座は22時くらいから見え初めます。夏の天の川自体の撮影は1時過ぎぐらい撮影することができます。
今回の撮影では僅かながら大気光が発生しており、写真にもうっすらと写っています。
大気光については季節はあまり関係なく発生するはずですが、4-6月あたりでよく発生するイメージです。天体観測としては邪魔な存在になると言われていますが、星景写真ではいつもと違った風景を撮影できるので面白い現象だと思っています。
は根子岳周辺には国道265号線が通っており、時たま走る車の光跡と根子岳と夏の天の川を捉えることができます。
今回は完全な新月期で夏の天の川は濃くはっきりと写っていますが、根子岳は山影のみとなってしまっているので若干月明かりがある中を狙った方が良かったかもしれません。
それでも根子岳のギザギザの山頂部の存在感は山影となってもはっきりとわかります。
去年の11月頃に根子岳は登頂してきました。もちろん登山自体も面白かったのですがこの山は個人的に登るよりも遠くから眺める方がいいですね。
「再びの電信柱と夏の天の川」
「電信柱と北斗七星と熊本方面の光害」
星景写真というよりも西側方面の光害がどれほど影響があるかを記録として残した写真です。冒頭で紹介した円周魚眼の写真でもわかるように西側の空はかなり明るいです。
「ソフトフィルターによる星々の強調」
ソフトフィルターを使用して久々に夏の天の川を撮影してみました。冬の星座などはソフトフィルターを使って星々を強調するとメリハリのはっきりとした星景写真を撮影することができるのですが、夏の天の川だと少しくどいような感じですかね?
ただ、さそり座やいて座、南斗六星がはっきりするのでこのあたりの星座をはっきりさせた時に使うのがいいかもしれないですね。
本当に久しぶりに「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」を使用しました。
最近は「RF15-35mm F2.8L IS USM」があまりにも使い勝手が良すぎてそっちメインでの撮影になってしまっており、「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」の使用頻度がかなり落ちています。個人的にはRF版の「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」の発売も待っているのですが当分出なさそうですね。
対角魚眼で撮影した上記写真では、木星、土星、火星と綺麗に並んでいるのがわかります。
「根子岳から上る夏の天の川」
坂梨展望台を撮影地として選んだ理由としては、この根子岳からまるで吹き上がるような夏の天の川を撮影したかったためです。この写真を撮影する所とし坂梨展望台は立地条件としては最高の場所でした。
最後に根子岳と夏の天の川を横切るISSの写真になります。これは狙ったわけではなく明け方の夜空に急遽現れたISSを捉えたものです。
ISSと知らなかったら突然現れた発光物体が移動していく様はUFOと勘違いしてもおかしくないぐらいです。
4. あとがき
阿蘇五岳の一つ根子岳の頭上に浮かぶ夏の天の川の構図をメインで狙いました。ただ、ここ最近の記事を見返すとどうしてもこの時期は天の川と被写体の組み合わせメインとなり似たり寄ったりの写真になりやすいです。
今後CanonがEOS R5を発売するとともにRF100-500mmという望遠レンズも出るので久しぶりに望遠レンズを購入してそうした望遠星景写真も狙っていこうとは思っています。
(これまで望遠レンズは持っていたのですが、星メインとなり現在は手放しています。)
5. 勝手に撮影地ランキング
撮影地の環境:☆☆☆☆
空の暗さ:☆☆☆☆☆
坂梨展望台には大きな駐車場はなく道端に2~3台停められるスペースしかありません。また、トイレ等もないので長時間の滞在には不利な場所です。
しかし、周りに光害となるものがないので流星群の観測や撮影には最適な場所と感じました。
6. 使用機材