目次
- 前置き
- 1. 流星群について
- 2. 観測としてオススメできる流星群について
- 3. 流星群撮影の条件について
- 4. 流星群撮影の設定
- 5. 流星群撮影機材について
- 6. あるとかなり便利な機材赤道儀
- 7.まとめ
- 8. 流星群に関するオススメの本
前置き
2017年のふたご座流星群は素晴らしい数の流星が見れました。
今回はそのふたご座流星群の記事内で紹介した写真の撮り方について紹介していきたいと思います。(今さらですが自分も忘れないように備忘録としても…)
まず始めに流星群撮影の条件について重要なことは
•天候がいい日に観測•撮影
•月明かりがない夜がベスト(月が沈む時間が早いや昇る時間が明け方とかの時)
•郊外に出ての観測•撮影
•標高が高い場所での観測•撮影
です。
続いて流星群撮影のカメラの設定については
上記についての詳しい内容説明は下記で紹介しているので時間があればご確認ください。
1. 流星群について
流星群とは、天球上のある一点から中心に放射場に広がるように出現する流星の集まりのことを流星群と呼びます。
例えば、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群、12月ふたご座流星群が有名で三大流星群とも呼ばれています。このように毎年同じ時期に出現する流星群は定常群と呼ばれています。
(ふたご座流星群)
また、1999年と2001年に流星雨(※流星が雨のように降ってくる現象で一時間に1000個〜10000個以上見られる現象)が見られた流星群としてしし座流星群がありますがこれは周期群と呼ばれています。また、突発群というのもありましてほうほう座流星群がありますが、これはほんとうに突発で一回出現した以降大流星群とはなっていないものです。
流星群の他に日常的に見られるのは散在流星と呼ばれるものです。この違いについては下記で述べて行きます。
では、流星の発光現象とはどんなものなのか?と疑問があると思います。
この流星の元となるのは彗星や小惑星からの塵が元と書きましたが流星群については彗星が深く関わってきます。
流星群が発生する理由としては、彗星が放出した塵等が集まっているダストレイルが地球の周回軌道上に重なっていてその多くの塵の中に地球が突っ込むことによって一気に塵が地球に飛び込み多くの流星が見られます。
面白いのがこのダストレイルには新しいと古いものがあります。
新しいものとは彗星が宇宙史から見るとかなり最近に通過してその塵が集中して集まっています。これにより短い期間ですが多くの流星が見られます。(流星の極大期に近づくにつれ山のようなピークが出る)
※しし座流星群はこのタイプでだいたい33年周期で彗星が回帰(一周して戻ってくる)してその後に多くの流星を見る事が出来る。
古いタイプですと彗星からの塵等が集まっているダストレイルが拡散することによって数は少ないですが長い期間流星を見る事が出来ます。(極大期までは高原状のピークを辿る)
※オリオン座流星群などで3000年前のハレー彗星の塵によるものとされている。
さらにこのダストレイルは惑星の重力の影響によって位置が変わる時があり、いつも見られていた流星群が突然見られなくなったり数が少なくなったりしたり、またその逆で一気に増加したといった例もあるそうです。
なので、いつもは少ない流星群でも突発的に流星雨になる可能性も無くはないので小さな流星群でもなかなか見逃せないです。(それでも流星雨自体起きる例は1世紀に2~3回起きれば良い方ですが…)
2. 観測としてオススメできる流星群について
流星群撮影としてのオススメとしては年間の三大流星群とも呼ばれる3つの流星群になります
2.1 1月のしぶんぎ座流星群
1月1日頃から1月5日まで見られて、1月4日頃に鋭いピークを迎える流星群になります。
新年明けてからの一発目の流星群撮影が出来る流星群です。
冬場なので関東近辺は冬晴れが多く比較的狙いやすく、極大時には1時間あたり20~50個ほどの出現が現れる活発な流星群です。ただし、ピークが鋭いので極大期が昼間だと予想されていた流星の数より見られない事がしばしばあります。
2.2 8月のペルセウス座流星群
7月20日から8月20日の一ヶ月もの間で観測出来る流星で基本的には8月12~13日頃に極大期を迎える流星群になります。
観測は真夏ということで夜間の寒さを気にしなく観測しやすい流星群です。極大期には一時間に30個から60個の流星が出現します。また、明るい火球が多くとても楽しめる流星群ですね。天候も梅雨明けで晴天率が高いので観測はしやすいと思います。
(2017年 燕山荘より天の川とペルセウス座流星群)
(2018年 ペルセウス座流星群の大火球)
ペルセウス座流星群は明るい火球が多く見栄えのいい流星群です。
2.3 12月ふたご座流星群
12月5日から12月20頃まで現れる流星群で12月14日〜12月15日頃に極大期を迎える流星群で安定して流星群が見られます。個人的にもふたご座流星群は撮影•観測で最もオススメな流星群です。100年以上前は一時間に10個程度しか見られなかったですが現在ですと一時間あたり30~60個以上見られなおかつ明るい火球クラスの流星も見る事ができます。
12月ですとこちらも関東平野や太平洋側は冬晴れで天候が安定していることが多く天気に左右されやすい流星群観測としてはかなり好条件で観測しやすい流星群となっています。
(2017年ふたご座流星群 火球クラス)
オススメ度としては12月ふたご座流星群>8月のペルセウス座流星群>1月のしぶんぎ座流星群ですね。
3. 流星群撮影の条件について
流星群の撮影条件についてですが、一番重要な事は天候が良いことかどうかで次に重要なのが月明かりです。
満月に近い月明かりですと暗い流星を見ることが出来なく、例え1時間に30〜60個見られる流星群でも一時間あたり10個程度しか見られなくなる可能性があります。
よく流星群のニュースで月明かりのない方を見ましょうと書いてありますが、実際の状況としては月明かりの影響は、月が見えない方向でもかなりありますので満月期は撮影•観測共に徒労に終わってしまうことがしばしばあります。
それ以外で月明かりが出てる場合も駄目なのか?と思いますが満月期以外だと月が夜中に沈んだりしてそれ以降は観測に向いていることがありますので月がいつ沈むのかまたはいつ昇ってくるのかを事前に調べておいて観測•撮影の計画を立てるのがベストだと思います。
自分はよく下のサイトで月の沈む時間、昇ってくる時間を調べています。
さらに重要なのが街明かりや周囲に街灯等が無い所で観測•撮影することです。
光害が酷い都内ですと多分ふたご座流星群でも見れて一時間に5個程度となると思います。それほど街中での流星観測は難しくなります。
同じく撮影についても後ほど紹介していきますが街中での流星群撮影の難しさもあります。なので、町から離れて暗いところを探して観測•撮影するのが一番いいです。
そして、可能であれば標高の高い場所での観測ですね。この理由としては標高を上げて行くほど空気が澄んでいき流星が観測しやすくなるためです。
4. 流星群撮影の設定
4.1 流星群撮影時の設定
例えばタムロン15-30mmF2.8のレンズだとF2.8にします。
F値については上の記事が非常にわかりやすいので是非一読をお勧めします。
ISO感度については、ノイズ低減低い方が良いと書かれてありますが流星撮影に関しては完全に間違いです。
ISO感度:3200以上
基本的に自分は流星撮影のISO感度は3200以上に設定しています。ノイズに関しては気になりますがプリントとかせずにネットとかに上げる程度ならノイズはそこまで気になりません。ISO感度が低いと暗くてすぐに消えてしまう流星は全く持って写りません。
自分も写真を始めた時はISO感度を1000ぐらいに設定していましたが全然写らなくて悲しい思いをしました。
なので、流星を写すには間違いなくISO感度は上げるべきだと考えています。また、最新のカメラだとISO感度を上げてもノイズが少ない写真が撮れるようになってきてるのでISO感度6400以上にしても問題ないです。
露出時間:撮影地の明るさによりますが自分は15-25秒の間でセッティングしています。
街中とかだと15秒の開放時間だと写真が露出オーバーになってしまうのでその場合は更に短い時間にする必要性があります。
ちなみに25秒以上にして問題ないですが実際の所流星の写る数に関しては露出時間はそこまで影響してきません。
逆に長過ぎると背景の星の数が増え過ぎて流星がどれだかわからなくなる恐れもあります。
4.2 流星群の撮影方法
基本はインターバル撮影という方法で構図を最初に決めておいて後は定期的にシャッターが切れるようにしておきます。
最新のミラーレスやコンデジとかはこのインターバル撮影の機能が搭載されていることが多いです。 大きな流星が流れたりしたらたまにカメラをチェックしたりするのがいいでしょう。
あと、数十分毎にレンズが曇ってないかの確認も一応必要です。(レンズヒーター等あれば巻いておくと曇りにくくなります。)
あとはそのまま放置が一番で、たまーにきちんと撮れているか確認するぐらいでいいと思います。
折角一年に数回しかないイベントなので自分の目で流星群を楽しむのが一番だと思います。
4.3 ピントの合わせ方
まずはレンズをMF設定(コンデジだとMFモード)にした後にカメラのライブビューで明るい星を見つけて拡大してそこにピントを合わせます。
そうすればほぼピントが合った状態の流星が撮れるはずです。
5. 流星群撮影機材について
流星群についてご紹介してきましたが、続いては流星群の撮影機材についてご紹介していきたいと思います。
もちろんこちらは流星群撮影であったら役に立つ機材なので必ずしもこれを揃えないといけないってわけではないです。
ただ、放射点の撮影ですと赤道儀という機材は必要になってきます。
5.1 流星群撮影のオススメのカメラ機材
まず、スマホ等での流星群撮影はやってみたことはないのですがはっきりいってかなり難しいと思います。(挑戦してみたい気持ちはありますが…)
カメラ側の設定がスマホだとアプリを入れないと出来ないのと流星群撮影ですと三脚等も必要になってきますのでお気軽にはまず無理です。将来的にセンサーの技術進歩で可能にはなると思いますが、現在ではまず綺麗な写真は撮れないです。
では、どんなカメラ機材がオススメかというと一番はやっぱりCanon6DやNikonD750等と言ったフルサイズのセンサーを積んだカメラで次にCanonのEOS80DやNikonD7200等のAPS-Cセンサーを積んだカメラ、その後オリンパスのミラーレスやコンパクトデジタルカメラになります。
フルサイズセンサーの何が良いかというと高感度耐性(暗い所で撮影してもノイズ等が少ない)が強いことが上げられます。また、DR(ダイナミックレンジ)という明暗差についても強いので後ほどの写真の現像でも非常にアドバンテージがあるという点です。
もちろんその後のAPS-Cやミラーレス、コンデジでも流星群が撮れないというわけではなく設定と機材がしっかりしていれば撮影は可能です。
ただ、綺麗に写すとしたらフルサイズの方がオススメというだけです。
今回はフルサイズについてオススメできるカメラを紹介して行きます。
個人的にフルサイズでオススメしてるのがCanonのEOS6Dシリーズです。
Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 6D Mark II ボディー EOS6DMK2
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EOS6Dは現在値段もかなりお求めやすくなっています。EOS 6DMarkⅡに関しては性能が若干アップしてバリアングルもついて使いやすくなっています。
安くすませたいならEOS6Dを中古で買うのがベストですね。状態によりますが8~10万ほどで出ています。もちろん流星群撮影以外でも風景とかに使えるのでこれから一眼レフカメラを購入しようとしている方にもオススメ出来るカメラです。
NikonだとD750が扱いやすく初心者にはオススメの機材ですね。
フルサイズミラーレスカメラであるソニーのα7シリーズというのがありますが、こちらはバッテリー持ちがそこまで良くないのと星食い(スターイーター)現象が発生するため現在はオススメしてないです。
といっても小型でなおかつ高感度にも優れているので買っちゃいけないカメラではなくα7シリーズでも全然流星群は撮影出来ます。
ただ、上記のデメリットに留意することが必要なだけです。
5.2 流星群撮影のオススメレンズ機材
続いてはレンズ機材です。
流星群撮影で必要とされる項目は下記の通り
•F2.8よりも明るいレンズ
•超広角〜広角レンズ(14mm〜35mm)
ここではフルサイズカメラとAPS-Cカメラとオリンパスのカメラのレンズについてオススメなレンズを紹介していきたいと思います。
5.2.1フルサイズ用レンズについて
まず、一番オススメしているのはタムロンのSP 15-30mm F2.8 Di VC USDになります。
TAMRON 大口径超広角ズームレンズ SP 15-30mm F2.8 Di VC USD ニコン用 フルサイズ対応 A012N
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このレンズは星撮影としては重さ以外のデメリットは特になく(若干壊れやすいというデメリットもありますが…)周辺の流れやサジタルコマフレアが抑えられており本当に星の撮影レンズとしては今まで多くの広角レンズを使ってきましたがこれが一番だと思います。値段も純正品よりお安く済むのでまさに純正殺しです。
ペンタックスだとタムロンと同等の設計であるレンズがあるのでそちらがそちらがオススメですね。(ペンタックスだと純正品という扱いになってしまうので値段が少し高くなってしまう…)
PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280
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次にオススメなのがシグマArt 14mm F1.8 DG HSMです。
SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM キヤノン用 フルサイズ対応
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アドバンテージとしてはF1.8の明るさを持つ事により後ほど紹介するISO感度を落とす事ができ、ノイズ等を抑えられる点です。
ただ、F1.8で使用すると周辺の流れがあったりサジタルコマフレアが発生したりといったデメリットももちろんあります。あと、値段が高いやレンズ重量があったりといった点も
また、単焦点なので構図がやや決めにくいといったところも
こうしてみると結構なデメリットがたくさんありますね…。そうしたデメリットがあってもなお14mmF1.8はこのレンズしかないので一応オススメしています。
軽くて安いフルサイズ用レンズ
もう軽くて安くいのが欲しい方にオススメしてるのがこのSAMYANG 14mm F2.8 IF ED UMC Asphericalですね。
値段は新品でも30000円で中古だと20000円で出てるほど写りもいいですし、少ない予算ではこのレンズを買うのがベストになります。
もちろん安いなりのデメリットはあります。
例えば周辺の星が流れてしまったり、天体ではマニュアルファーカスであまり気にならないですが通常の撮影だとオートフォーカスが効かないのでちょっと一苦労。
それでも値段の安さや14mmの超広角で明るいレンズだとコスパ最強のレンズです。
続いてはお安く超広角で明るいレンズはトキナーの16-28mm F2.8になります。
Tokina 超広角ズームレンズ AT-X 16-28 PRO FX 16-28mm F2.8 (IF) ASPHERICAL ニコン用 フルサイズ対応
- 出版社/メーカー: トキナ
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超広角レンズのコスパとしては良く新品で65000円ほどで購入出来ます。このレンズも使った事があるのですが、周辺減光が激しいのと周辺流れがあるといったデメリットがあります。
5.2.2 APS-C用レンズについて
APS-Cで上記のレンズを満たすのはトキナーの11-20mm F2.8になります。
このレンズ以外APS-C用超広角レンズで明るいレンズって調べてみた所無さげですね。
もっとあると思っていたのですが…
Tokina 超広角ズームレンズ AT-X 11-20 F2.8 PRO DX 11-20mm F2.8 Nikon用 フード付属 APS-C対応 634387
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5.2.3 オリンパス用超広角レンズ
オリンパスの星撮りレンズとしたらM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROが一番でしょう。解像度も高く周辺流れも少ないサジタルコマフレアもほとんど出ないといった点を考えるとこれ一択でしょう。でも高い
OLYMPUS 超広角ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO マイクロフォーサーズ用 EZ-M0714PRO BLK
- 出版社/メーカー: オリンパス
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6. あるとかなり便利な機材赤道儀
さて、上記の機材を紹介してきましたが基本ふざけるな高い!と感じられる機材ばかりです。これを補うには赤道儀という星を追尾する機材を購入すると上記のカメラやレンズが無くても撮影可能です。
特にポータブル赤道儀であるポラリエだと3万円台で購入することができます。
Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT) ホワイト 355051
- 出版社/メーカー: ビクセン
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Sightron コンパクト赤道義 NEW nano.tracker 外部バッテリー対応 AS0005
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更にお安いのだと1万円台で購入出来るものもありますが、重たいカメラは載せられない点や星の追尾の甘さがあったりといったデメリットもあります。追尾が甘いといっても1分ぐらいなら問題ないとは思います。
初心者として扱いやすいのはポラリエですね。これがあればキットレンズでも天体撮影や流星群撮影が出来ます。
7.まとめ
流星群撮影や観測の条件としては下の4つが重要
•天候がいい日に観測•撮影
•月明かりがない夜がベスト(月が沈む時間が早いや昇る時間が明け方とかの時)
•郊外に出ての観測•撮影
•標高が高い場所での観測•撮影
撮影方法としては下記の5つが重要
まとめるとこんな感じです。
あくまで個人的な考えなので一回試してみて自分に合わないなと感じたら色々設定を弄ってみて一番いい感じに写る方法を探してみるのも面白いと思います。
8. 流星群に関するオススメの本
かなり古い本ですが流星について詳しく解説されているので一読する価値はある本です。
流星群の観測スポットを探すときに役立つサイト